高性能・画像認識プロセッサ

プロジェクトについて

ADASプロジェクトでは先進運転支援システムのための画像認識プロセッサの研究開発を行っています.アルゴリズム・アーキテクチャ・デジタル回路といった広い分野からアプローチから改良を行い,低電圧で高解像度動画像の実時間物体検出を行うLSIの設計・開発を行っています.

プロジェクトの研究内容

動画像認識は自動運転/運転支援に必要な要素技術の一つです.高速で動き,人命にも関わる自動車への応用では実時間での遠方物体の検出が求められ,高精細な動画像認識技術の要望が高まっています.しかし,高解像度の画像処理には膨大な計算量が必要となります.また,バッテリ容量や熱設計上の制約から低消費電力であることが求められます.GPGPUや高性能CPUを用いたソフトウェアによる画像認識では膨大な計算量を処理できても大きな電力を消費してしまうという問題もあります.そのため,我々は専用のプロセッサの研究・開発を行うことで,「低消費電力」「高解像度」「実時間」の実現を目指しています.

過去の研究テーマ

HDTV実時間動画像認識のための低消費電力SIFT特徴量抽出プロセッサ

SIFT特徴量は画像中の輝度勾配を元に算出され,回転やスケール変化に不変な特徴量です.SIFTでは物体が存在しそうな部分のみ物体検出対象となるので効率の良い物体検出が可能となり,物体追跡などのリアルタイム性が求められる分野にも応用されている.

開発したプロセッサでは従来の2次元平滑化を1次元の組み合わせに分割して計算量を削減し,ステージ毎のクロックゲーティングにより消費電力の低減をしています.

上図は実際に試作したチップの写真です.
FPGAへの実装も行い,物体検出システムの構築も行っています.

HOG特徴量を用いたHDTV解像度対応実時間複数物体検出プロセッサ

HOG特徴量とは,画像の局所領域に含まれるエッジの方向のヒストグラムを求める特徴量です.大まかなシルエットを捉えることができるため,明るさやテクスチャ,物体の姿勢等の変化に強いといった特徴があります.この長所を生かして,人物の検出を始めとして様々な物体検出に用いられています.HOGについても,ソフトウェアで高解像度を扱うことは困難です.我々は,HOGプロセッサの実現に向けて,ハードウェア向けにアルゴリズムを改良しました.また,効率良く計算を行うために演算モジュールの並列化,パイプライン化を行ったアーキテクチャを提案しました.
さらに,提案したプロセッサを実際にFPGAに実装し,LSIチップの設計・開発も行ないました.一般的なCPUでは50~150W程度の電力を消費しますが,提案したプロセッサは200mW以下の電力しか消費しません.このように,高速・省電力で処理できるところが,プロセッサの強みです!

Sparse FIND特徴量を用いたマルチスケール対応HDTV解像度@60fps動画像認識プロセッサ

Sparse FIND特徴量はHOG特徴量に用いる輝度勾配ヒストグラムを高次元化した特徴量であり,従来車載分野の物体検出に使用されていたHOGやCoHOGよりも高い検出精度を持っています.また,様々なサイズの物体を対象に認識を行うためマルチスケールでの画像認識を対象としています.しかし,高次元化したことによる演算量の増加やSparse FINDの特徴であるRAMアクセスのランダム性が高解像度動画像の高速処理を阻害していました.そこで,アルゴリズム面からの改良や識別モジュールの並列化,RAMアクセスのばらつきを軽減するためのアーキテクチャ面の改良を行いました.FPGAを用いたプロトタイプの構築やLSIチップの設計も行いました.


プロジェクトの強みと今後

画像認識プロセッサに適用するアルゴリズム,アーキテクチャ,回路を研究し大規模なLSIチップの設計を行っております.また,チップ設計だけでなくFPGAを使ったデモシステムも構築するので,実際に作ったプロセッサを目で見える形にすることができます. 今後はディープニューラルネットワークを用いた実時間認識プロセッサの研究を行いう予定です.

この研究に興味を持たれた方,この研究をしてみたいと思った方,是非吉本研まで気軽にお訪ねください.