DNN Project

本プロジェクトについて

本プロジェクトでは,画像・化学分子を対象としたディープラーニングを扱うプロセッサの研究を行っています.

研究背景

コンピュータ性能の飛躍的な向上,Webやインターネットデバイスの普及による大規模データの獲得,そして様々な研究の成果により深層学習(ディープラーニング)は大きく発展し,現在様々な分野で注目を浴びています.特に画像認識分野では圧倒的な認識性能を誇っており,一般物体画像の認識精度を競う大会ILSVRCでは,2012年の深層学習の登場以降精度が大きく向上し続け,ついに2015年には人間の認識性能をも上回りました.今後はこの深層学習が様々な分野に応用され,成果を見せるものと期待されます.

研究内容

1.DNNの軽量化

ディープニューラルネットワーク(DNN)は,他の計算手法に比べ圧倒的な精度の達成が可能ですが,その精度の獲得のためにネットワークモデルが大きくなる傾向があります.しかし,近年注目されているエッジAIなどの技術にはメモリ容量やリソースに制限があり,巨大なDNNを搭載できないという点が課題となっています.そこで本研究は,特に「量子化」という軽量化手法を用いてDNNモデルサイズの大幅な削減を目的とします.

2.DNNで高分子を回す手法

ポリマーなどの高分子において,現実に近いシミュレーションを行うためにより詳細な分析を扱いたいが,古典分子動力学(MD)などの手法では精度に限界があります.そのため,MDの各ステップで第一原理計算(DFTなど)を行うことで精度の向上を実現したいのですが,ポリマーは1万原子規模になるためDFT計算を繰り返し行うと計算コストが膨大になり,現実的な時間では計算できませんでした.そこで本研究では,速度と精度を両立するため,高分子を用いたシミュレーションをDNNモデルで計算する手法の研究を行なっています.