IoT Project

IoTとは

IoT(Internet of Things)とは,スマートフォンやコンピュータといった情報・通信機器だけでなく,様々なモノにセンサが取り付けられ,さらにそれらのモノが通信機能を有し,インターネットに接続して相互通信を行う仕組みです.

IoTにより何ができるようになるか


無線機能と簡単なデータ処理能力をつけたセンサのことを「センサノード」といいます.このセンサノードによって現実世界のあらゆる情報を収集し,インターネットを通じてデータを集約しクラウド上で解析します.その解析結果に従って現実社会のデバイスやサービスの制御・最適化等を行います.
センサノードによって身の回りの空間の情報がわかるようになれば,色々な応用ができます.ざっと挙げるだけでも,ウェアラブルデバイス・スマートシティ・スマート工場・スマート農業・スマートハウス・構造物ヘルスモニタリング・在庫管理最適化システム・自動運転システム等々があり,幅広い分野でIoT向けセンサノードが展開されることが予想されます.
たとえばウェアラブルデバイスで体温・心拍数・カロリー消費・睡眠の質などを計測します.これらの情報を複合的に分析し,生活習慣の改善や病気の予防を行います.
また車々間通信や路車間通信などに応用すれば,ITS社会の実現に一役買えます.道路にセンサを設置してネットワーク化すれば,交通量調査システムを必要なときに展開できるので,細やかな道路行政が実施できます.

研究内容

1.非接触による生体情報計測

健康を把握するうえで重要な情報であるバイタルサインを解析することで不整脈など主種の病気の兆候を発見することが可能です.しかし,現在主流となっている計測手法は装置を直接被験者に装着する必要があり,ユーザビリティが低いという問題があります.本研究では非接触の計測により生体情報を取得し機械学習を用いて解析することで,ユーザビリティの問題を解決し,人々の健康に寄与することを目指しています.

2.接触による生体情報計測(乾燥電極、心電図計測など)

心疾患や脳卒中は症状がないまま病状が進行し,症状が現れたときには重症であり時には死に至ることがある病気です.そのため生体信号を日常的に計測し,こうした疾患の早期発見・予防を行うことは非常に重要です.本研究では無線通信技術による小型化、機械学習による軽量なデータ処理,ノイズを低減する回路機構などを用いて患者が日常生活を送りながらも高精度に心臓の異常を検知可能なモニタリングシステムの実現を目指します.

3.発汗によるインピーダンス変化

本研究では,生体信号の中でも皮膚からの発汗の計測に注目し,ウェアラブルな発汗量計測技術を開発しています.布や透湿性のある材料に複数電極を形成します.その電極に汗が染みこむ際の,電極間インピーダンス変化を複数周波数で測定することで,発汗量とそのイオン濃度を分離計測できるデバイスの実現を目指します.本研究は熱中症予防や自律神経モニタリングへの応用が期待できます.

4.酸素飽和度の解析

睡眠時無呼吸は睡眠関連呼吸障害の中で最も頻度の高い病態のひとつです.この病態の問題点は,睡眠の質低下による日中傾眠が原因で引き起こされる交通事故が頻繁に起きること,また循環器疾患等,様々な疾患のリスク因子になることです.そのため,日常的に睡眠時無呼吸の判断を行うことが肝要となります.そこで本研究では,酸素飽和度に着目し,機械学習を用いて酸素飽和度データを学習し,睡眠時無呼吸の自動判定を実現します.

5.化粧品塗布動作の解析

日焼けとは,紫外線が肌に当たることによって引き起こされる,皮膚の炎症や色素沈着を指します.日焼けの対策として,紫外線防止性能を持つUVカット化粧品の使用が推奨されますが,適切な塗布方法以外では防止性能が大きく低下します.本研究では,化粧道具にIoT 技術を導入し,UVカット化粧品の塗布動作を可視化・定量化しユーザにフィードバックを行うシステムの構築を目指します.

6.温度差で触覚刺激・体温発電

ペルチェ素子は温度刺激提示に用いることができますが,消費電力が大きく,電池駆動・小型化に課題があります.そこで省電力なウェアラブルデバイスの実現に向けた回路技術の開発を行っています.XRという新しい体験を作り出す技術に応用できます.またペルチェ素子は温度差の発電にも利用することが可能です.体温と外気の温度差で発電し,生体計測ができる,バッテリーレスデバイスの開発も行っています.このように熱と電力を変換できる素子を用い,様々な応用を実現します.